2010年9月21日火曜日
『恋』──日本の長編にありがちな枚数稼ぎの「情痴小説」
2010年9月14日火曜日
『悪人』──地獄のない地獄
というのも、リアルとは、その人にしか持ち得ない、その人の肉体でしか説明できないなにかであるからだ。
ここにあるのは、ただの風俗である。それも、風俗という名の抽象でしかない。それにかろうじて実態を与えているのは、俳優、樹木希林の存在である。この人は、いかなる抽象をも拒む肉体を持っている。それは俳優としての資質である。この人のように、まず抽象を拒むことから作品というのは始まるのである。
深津絵里が、カナダの映画祭で賞をとったそうであるが、やはり抽象であることに変わりはない(むしろ賞は、樹木希林に与えられるべきであったであろう)。こういう実態のない人物を演じていて気持ち悪くならないのだろうか?
だいたいが、原作の吉田修一自体が、そういう「典型としての風俗」を描く作家である。ここには、車谷長吉が達したような「地獄」は見あたらず、どんな事件が起きても人は心を動かされない。
2010年9月10日金曜日
『脳がヨロコブ生き方』──好奇心こそ宝
2010年9月7日火曜日
『読んでいない本について堂々と語る方法』──しかし本書だけは読了してしまう(苦笑)魅惑の書
『読んでいない本について堂々と語る方法』(ピエール・バイヤール著 大浦康介訳 筑摩書房 2008年刊)
題名を見て、正直なハナシ、「そんな方法があれば……」と、「ワラにもすがる思いで」(笑)、本書を手に取った人も多いのではないか。なにを隠そう、私もその1人である。本の体裁を見ればわかるとおり、本書は、「実用書」ではない。れっきとしたテクスト論書である(ポストモダン系)。それも、著者の専門である、精神分析理論をもとに「論じている」。
しかし考えてみれば、精神分析は、読書体験を論じるのに、かっこうの手法である。本書の読者は、あの、きわめてあいまいな、読書という体験を、すっきりと分析してもらえ、しかも、「そうか、これからも、しゃかりきになって読む必要はないんだ」と元気づけられる。そのうえ、矛盾するが、どんな難解な本にも挑戦してみようという勇気も与えられる。
「読まない本について堂々と語っている」人たちの例が、巷のハウ・ツー本のような、そのへんのオジサン、オバサンではない。ポール・ヴァレリーだったり、モンテーニュだったりする。そうか、あの偉人も、そうであったか……。
世のビジネス書は、速読だの多読だの、ごくろうなことである。これは、ひとえに、「読書体験」たるものの、認識が浅いからである。
重箱型学者を嗤っているかのような胸のすくような本を書くのは、さすが、フランス人である。しかし、翻訳書であるかぎりは、どんなにすばらしい内容も、訳文ひとつでつまらなくもなる。本書がおもしろいのは、当然ながら、訳がいいからである。
頭がよくなった(実際なっていると思う)ような気分になれて、すいすい読み進めてしまえて、これからは読んでない本についても堂々と語れる……こんな本を「誰にも教えたくない」(笑)と思うのは、どこかのレビュアーさんも書かれていたとおりである。バイヤール+大浦康介訳本は、ほかのも読んでみたくなる。
2010年8月6日金曜日
2010年8月3日火曜日
『ソルト』──マット・デイモンを超えた?
2010年7月24日土曜日
シンデレラは、オバサンだけにしてほしい
http://knowyourmeme.com/memes/jessi-slaughter-you-dun-goofd-the-consquences-will-never-be-the-same
行わけ詩?
ボルヘスは、詩の内実は、リズムだと言っている。そういうとき、行わけが必要になるんです。自分は、T.S.エリオットから詩を学んでいるんで、日本の詩人のみなさんが、散文がどうこう、行わけがどうこうと、侃々諤々している意味がまったくわかりません。だいたい、この分類は、間違っている、散...
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ボローニャ行き帰り二泊。鉄道でフィレンツェまで。超高速で30分。フィレンツェ二泊の、弾丸旅行に行ってきた。四泊六日で、まあ、しゃべったわ、しゃべったわ、イタリア語を! そして、目的の場所を探して一日20000歩近く、そして……疲れた。乗り換え地点のフランスは、シャルルドゴ...
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雪のピレネー山脈を越え、飛行機はボローニャ空港に着いた。2列、2列の席が並ぶ機内で出されたのは、パンと飲み物。しかし、このパンがうまいのだ。やはり小麦が違うから、まずくなりようがないのだな。早速タクシーに乗り込んで、ホテル「アストリア」まで。20分もかかってなかったので、...
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『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』アレクサンダー・ペイン監督 ジム・ジャームッシュの『ストレンジャー・ザン・パラダイス』を少しだけ彷彿とさせる映画だが、本作の方が、できがかなりよい。まず脚本(ボブ・ネルソン)がすばらしい。「父と息子のロード・ムーヴィー」に、お約...