2014年2月18日火曜日

『あらすじで読むシェイクスピア全作品』──新書にはまれな永久保存版

『あらすじで読むシェイクスピア全作品』(河合祥一郎著、2013年12月刊、祥伝社新書) [


 帯にあるようにも、欧米の教養人、あるいは、古典を読むにあたって、必須の知識は、聖書とシェイクスピア作品である。欧米の人々はそれがわかっているから、成長していく過程で自然に身につけることができるが、日本では、こういう知識は、意識的に身につけなければならない。資格試験の点数がいくら高くても、このような知識を欠いていたら、欧米人には教養ある人とは認めてもらえない。
 確かに、語学の教科書でも、部分的に取り入れられていたりしているが、網羅してリストに、かつ、ポイントが書いてある本は、あるようでない。文学的な専門書にしてからがそうである。それを本書は、いとも気軽に(とはいえ、大変な知識と読書量を要すると思うが)、惜しみなく、読者が参照しやすいように書かれている。
 『ロミオとジュリエット』や『ハムレット』などはおなじみであるが、シェイクスピアの歴史劇などは複雑で、戯曲に丸腰でかかっても歯が立たないということがある。その点、本書を読めば、その構造もすっきりで、文学そのものに集中することができる。
 よくある、あらすじだけを書いた本とはまったく違う。私など、なかなかシェイクスピアを攻略できないでいたので、「このような本をよくぞ書いてくれました。ありがとう」と陰ながら著者に手を合わせる日々である(笑)。


2014年2月6日木曜日

ワタシ的「フィリップ・シーモア・ホフマン」追悼

 数日前だったか、氏の訃報がニュースで流れ驚いた。カメレオン俳優の彼のファンだった。カメレオンといっても、ああいう風貌だから、役柄は、変人、悪人などが多い。なかでは、最近作の、『25年目の弦楽四重奏』は、素の彼に近いような、悪人でも変人でもなく、人間的な役だった。第二ヴァイオリンという、弦楽四重奏においては、「脇」のパートと人生をダブらせ、主役である第一ヴァイオリンへのコンプレックスも滲ませるという微妙な内面をも演じきっていた。もともと出身もニューヨークなので、この街を舞台にした音楽家という役のどこか洗練されている感じもよく似合っていた。
 これからもどのように変わっていくか、楽しみの人だっただけに、46才の死が惜しまれる。ヘロインの注射針が腕に刺さったまま死んでいたというが、プレッシャーにつぶされたのだろうか。それも、「知的」で「おバカ」という矛盾したキャラクターの、彼らしいといえばいえる。冥福を祈る。Rest in Peace.


2014年2月5日水曜日

二月は古句が似合う季節

芥川龍之介は、「我鬼」という号で、俳句に心酔していたようで、岩波文庫からも俳句集が出ているが、この「ブランド」の句には、私にとっては、あまり心ひかれるものはない。

したがって、また、古句に戻る。『古句を観る』(岩波文庫)のはじめに、柴田宵曲は書いている。「世に持囃(もてはや)される者、広く人に知られたものばかりが、見るべき内容を有するのではない。各方面における看過ごされたる者、忘れられたる者の中から、真に価値あるものを発見することは、多くの人々によって常に企てられなければならぬ仕事の一であろうと思われる」

「『古句を観る』の古句は、元禄時代の芭蕉の息のかゝつた俳書から集めたのであるが、その中には芭蕉やその周囲の主だつた人の句は一つも採らず、無名作家の手になつた俳句ばかりを集めてゐる。それでゐてその個々は今日出しても清新な句ばかりなのだから、元禄時代にかやうな句も出来てゐたのかと驚かされる。宵曲子は古い俳書も丁寧に読んで、さうした句ばかり集めてゐたので、その点に子の鑑識が窺はれる」(森銑三、同書巻末で)


うそくらき木々の寐起や梅の花  木兆

紅梅や古句の似合はし季節なり




誰かに似ている?

若き日(といっても、自殺する年の昭和2年、35才のとき)の芥川龍之介は、こんな顔((遺言通りの岩波の全集、第9巻)
最近、わんさかいて名前を覚えられない、若手俳優、歌手、タレントのなかに、こんなカオいなかったか?

この全集には、遺書も収録されているが、たしか、何人かの知人に、死ぬ理由や、死後はこうしてくれ、という指示を与えている。妻には、事務的なことのみ。全集は「岩波から出したい」と。枕元には聖書。

なんで死ぬか? 恋愛をしていて、一方に家族があって、邪魔だ。そんなあけすけなことが書いてあった。これも、若さゆえ、なのか。





行わけ詩?

ボルヘスは、詩の内実は、リズムだと言っている。そういうとき、行わけが必要になるんです。自分は、T.S.エリオットから詩を学んでいるんで、日本の詩人のみなさんが、散文がどうこう、行わけがどうこうと、侃々諤々している意味がまったくわかりません。だいたい、この分類は、間違っている、散...