『夢売るふたり』西川美和監督
30代女性を読者層に想定した『Domani』なるファッション雑誌がある。その雑誌では、「女」「妻」「母」代表と称して、30代女性の「理想の現状」をファッションのあり方とともに紹介している。また、それぞれの立場から装った、聞こえのいい職業を持った、見栄えのいい読者をファッションとともに紹介している。こういう雑誌が描き出す、幻想の30代というのは、それなりのキャリアを積み、お金もあり、異性のパートナーともうまくやって、しかも、ファッションはばっちり決めているという姿である。今の日本に、こういう雑誌が描き出す「アラサー」「アラフォー」の女性たちは存在するのか? あるいは、自分はそうだと「なりきっている」人々もいるだろう。
しかし、人生というのは、それほど単純なものでも、ファッショナブルなものでもない。人はそれぞれの事情を抱えて生きていかなければならない。それは、人生でいちばん輝いているはずだと雑誌が吹聴する30代女性も同じである。
本作は、気品と透明感で、凡庸な容姿を突き抜けている主演の松たか子をはじめ、さまざまな女性が出てくるが、誰ひとり、上記の雑誌が想定するような姿の女性はいない。「女子会」などという居酒屋用語でくくられる「女子」たちもいない。そこには、懸命に人生を生きようとする「第二の性」に区別される人間しかいない。その「心理」を、映像化して見せたのが本作であると、私は見た。
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「お写真」は、わん太が豊橋に帰省して、「弟」と再会した豊橋公園にて。

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