2013年9月10日火曜日

『サイド・エフェクト』──ストイックな美しさ


『サイド・エフェクト』スティーヴン・ソダーバーグ監督、スコット・Z・バーンズ脚本

中年の精神科医と若い女性患者。ありがちのストーリー展開にはならない。だいたいこの二人は、対決こそすれ、関係しない。思えば、ソダーバーグが、そのデビュー作(?)の『セックスと嘘とビデオテープ』から、セックスをテーマにしたことはない。彼のテーマは、「セックスの周辺を流通する世界と、それに関わる人間たちの嘘」である。ずばりセックスを期待していた観客はまったくはぐらかされる。
 エンターテインメントのアメリカ映画を見ていれば、アメリカ人がいかにセックスを人生の重大事にしているかがわかる。いい年のオバサンまでが、夫が自分を女として見てくれないと悩む(メリル・ストリープ主演『31年目の夫婦げんか』)。しかし、ソダーバーグはそういう風潮とは無関係だ。ただ彼は現代社会を生きる「生」の複雑さを見つめる。本作では、精神安定剤のアメリカでのカジュアルな流通(テレビでCMをやっている)と、それを逆手にとった「嘘」を、美術的に配慮された画面(本作を最後に、彼は画家としてのキャリアに挑戦するという)で見せる。配役はあくまで、「リアル」にこだわる。ジュード・ロウ、ルーニー・マーラ、チャニング・テイタム、キャサリン・ゼタ・ジョーンズの演じる主要人物が、俳優たちの実年齢とほぼ同じに設定されていると見た。
 ソダーバーグは、映画監督としての最終作で、テーマ的にはデビュー作に戻ったように感じた。そこにはすがすがしい「初心」があり、それは題材のスキャンダラスな外観を裏切って、ストイックな美しさを湛えている。


2013年9月6日金曜日

「フーコーを読む 2013」

「フーコーを読む 2013

HP更新したから、来てね〜↓


似顔絵は、自称「マウスの絵師」、わたしくメが作製いたしました↓









2013年9月2日月曜日

『マジック・マイク』──肉体=知性の時代


『マジック・マイク』スーティーヴィン・ソダーバーグ監督+リード・カロリン脚本+チャニング・テイタム主演 

チャニング・テイタムの鍛え抜かれた完璧な肉体は、かつてのスタローンとか、シュワちゃんの、非知、非自然の肉体とは完全に違う。男性ストリッパーを演じようが、あくまで無機的かつ、ナチュラルなのである。無機的とナチュラルは、相反する概念のように見えるが、彼の肉体の中では解け合っている。

男性ストリッパーの世界を、ソダーバーグは、決しておちゃらかすことなく、あくまで、現実的なビジネスとして描く。そこにはハードなダンスレッスンもあれば、心の繊細な動きもある。主人公のマイクのほんとうの関心は、家具のデザインで、スカウトした未成年の青年の姉の家の家具も、ちゃんと見て発言するところにリアリティがある。

画家になることを決意して、監督業をやめるソダーバーグの、最後から二作目なのだろうか? とにかく、画家らしいスタイリッシュな映像と構成が目を引く。脚本は、同じテイタム主演の『ホワイトハウス・ダウン』と同じ人で、やっぱり、ストリップ・ダンサーは、ホワイトハウスの護衛官になったのか~(笑)である。ここでも、テイタムは、すばらしい身のこなしで、映画の質を上げている。

時代は、完全に変わった。かつての二枚目、マシュー・マコノヒーも、「老醜」で、テイタムを引き立て、ごくろうさま、です。かなりどぎつい40代ストリッパー兼経営者の役は、ほんとうにうまいと思えど、やはり、今は、テイタムが光輝いている。


行わけ詩?

ボルヘスは、詩の内実は、リズムだと言っている。そういうとき、行わけが必要になるんです。自分は、T.S.エリオットから詩を学んでいるんで、日本の詩人のみなさんが、散文がどうこう、行わけがどうこうと、侃々諤々している意味がまったくわかりません。だいたい、この分類は、間違っている、散...